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2018/01/11

花筐 HANAGATAMI

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【花筐 HANAGATAMI】

(「書き残した2017年の映画を駆け足で記録」シリーズ)

 大林亘彦さんは僕には忘れられない映画監督です。僕の学生時代の邦画は、青春映画と言えば(ATG作品を中心として)倦怠・殺人・堕胎などが作品中にしばしば描かれていました。「人を殺しもしない、堕胎どころか女の子とも付き合えない。そんなどこにも居る(自分の様な)十代を表現する様な映画はないのだろうか」と思っていた僕の心を掬い取ったのが、相米慎二監督の『翔んだカップル』と大林監督の『転校生』でした。「僕たちの心を映してくれる監督が漸く現れた」と嬉しくなったものでした。

 本作は、その大林監督が監督デビューする40年以上前に既に脚本を完成させていたという執念の作品です。また、昨年には監督の肺癌罹患の報が広まり、「これは、今観ておかねば」と劇場に足を運びました。

 戦前の佐賀県唐津を舞台に、旧制高校に通う青年達と病弱な少女を巡るお話です。壇一雄さんの原作なのだそうです。それにしてもまあ、何と豊穣な・・と言うよりは過剰な映像世界でしょう。明らかにCGと分かる背景(もちろん、それを意図しているのでしょう)、わざとらしいと思える色彩(これも意図通り)、そして芝居じみたわざとらしい演技(当然、これも監督の狙いでしょう)がこってりと繰り広げられます。

 恐らくこうした映像が好きな人には堪えられない世界なのだと思います。しかし、この「ずらした演技」の感覚に僕はずっと馴染めないまま終わってしまいました。更に、僕の苦手な旧制高校的雰囲気が、「思い入れタップリの恥ずかしさ」を以て語られると少し身を捩ってしまう場面もありました。特に心に残るものもありませんでした。

 大林監督の病状は現在は小康を保っているそうです。是非、もう一作撮ってください。文句は言うかも知れないけれど観に行きます。

TOHOシネマズ ららぽーと横浜 にて (#68-247)

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